Sunday 17 March 2024

TikTok禁止が英国ビジネスに打撃を与える16億の理由

The Times, 17 March 2024

アメリカはすでにソーシャルメディア・アプリの中国人所有を違法化する法案を推進しているが、そのアプリは何千人ものイギリス人と経済にとっては大きな助けになっている。

ILLUSTRATION BY TONY BELL

 マット・スラックという名のドンカスターの精肉店は、2020年のパンデミック(世界的大流行)で店を閉めざるを得なくなった時、何百万人ものイギリス人の日課となりつつあったショート動画アプリ、TikTokに挑戦することにした。

視聴者に牛肉や羊肉の様々な切り方を教える陽気なクリップで、彼はこのプラットフォームをオンライン販売に役立てた。それから4年、40歳の彼は13万人のフォロワーを持ち、ファンから「肉のインフルエンサー」と呼ばれている。リスの屠殺方法を紹介する彼のTikTokは、310万ビューを記録している。

アプリは彼のビジネスに大きな効果をもたらした。スラックの推定では、顧客の60%が彼の動画で店を発見したという。「TikTokから来たお客さんは、ちょっとスター気取りで、私が実在の人物だとは思っていないんです。「3、4時間離れたところから来る人もいるんだ。ロンドン、ウィガン、マンチェスター、プレストンから来た人もいる。」

フェイスブックとインスタグラムのボス、マーク・ザッカーバーグがTikTokを買収しようとしたが失敗

TikTokによると、EV Slack & Sons社は、TikTokプラットフォームにアカウントを持つ150万社の英国企業の一つである。TikTokのアカウントは、プロフィールを作成したり、TikTok Shopマーケットプレイスを通じて直接販売したりすることができる。インフルエンサー、ミュージシャン、アーティスト、その他多くの人々もこのプラットフォームでビジネスを立ち上げており、2000万人のイギリス人ユーザーと、その他数億人のユーザーにリーチしている。昨年、TikTokが委託したオックスフォード・エコノミクスの調査では、2022年に英国経済に16億ポンド(約1600億円)の貢献をし、「3万2000人の雇用を支えた」と推定されている。

ロンドンでは、TikTokは現在2,000人以上の従業員を抱えている。

そのため、先週ワシントンDCから流れた、米国がTikTokを禁止する可能性があるというニュースは、最終的に英国に激震をもたらす可能性がある。

イギリスとアメリカのユーザーに知られているTikTokアプリは、もともとはMusical.lyと呼ばれていた。中国の技術系起業家アレックス・シュとルイス・ヤンによって2014年に設立された。TikTokは瞬く間にティーンエイジャーの支持を集め、彼らはTikTokを使って好きな曲に合わせて踊ったり口パクをしたりする動画を作成した。

2016年までには、フェイスブックのボスでインスタグラムのオーナーであるメタのマーク・ザッカーバーグの注目を集めた。ザッカーバーグは中国市場への重要な橋渡しを期待して買収を試みたが、断られたという話だ。

翌年、ByteDanceという中国のテック企業がMusical.lyを10億ドルで買収し、TikTokというブランド名に変更したことで、このアプリは買収対象からメタにとって阻止しなければならないライバルとなった。

その頃、ザッカーバーグは敏腕ロビイストであるニック・クレッグ元英国副首相をトップチームに加えていた。反TikTokキャンペーンが始まったのだ。

ロンドンのファリンドンにあるカレイドスコープ・ビルにあるTikTok本社。同社は英国で2,000人以上の従業員を抱えている。
ALAMY

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、ザッカーバーグは2019年10月、ホワイトハウスでドナルド・トランプとの私的な夕食会に出席し、中国系テック企業の危険性について当時の大統領に警告した。米国の政界では、中国政府がTikTokを利用して米国民のデータにアクセスするのではないかとの懸念が高まっていた。

ByteDanceによる2017年のTikTok買収に対する米政府の調査が続き、トランプは大統領としての任期が終わる前に、中国のオーナーにTikTokを米国企業に売却させようとした。この努力は失敗に終わったが、TikTokはその後、米国のデータを保存するために米国のハイテク企業オラクルと提携を結んだ。

しかし、米国における政治的懸念を払拭するには十分ではなかった。英国と同様、いくつかの公共団体や政府機関は、職員が仕事用の携帯電話にTikTokを持つことを禁止した。

一方、「外国敵対者管理アプリケーションからアメリカ人を保護する法律」と呼ばれる法案がワシントンDCを通過している。先週、この法案はバイトダンス社にTikTokを販売させ、さもなくば米国での使用を禁止するというもので、下院で可決された。

上院での可決はまだ確実ではないようで、今秋の大統領選の結果にも左右されるかもしれない。ジョー・バイデンはこれを支持する意向を示しているが、トランプは一転して禁止令に反対しており、メタのビジネスを「倍増」させると考えている。

TikTokは、最高経営責任者(CEO)のシュウ・ジー・チュウがいるシンガポールとロサンゼルスの両方にグローバル本社を置き、オーナーのバイトダンスは北京に拠点を置き、「Douyin」と呼ばれるそっくりな中国語専用アプリを運営している。

また、ロンドンにあるテックセクターの巨大企業としてひっそりと存在感を示している。ロンドンでは以前、グローバル本社の移転が検討され、英国内の政治的反発を招いた。

セントラル・ロンドンのホルボーン地区にあるWeWorkのシェアオフィス・スペースで数十人のスタッフからスタートしたTikTokは、今では英国で2,000人以上の従業員を抱えるまでになった。彼らはeコマース、広告販売、技術開発などの部門にまたがって働いている。TikTokは現在、カレイドスコープ(Farringdon East Crossrail Stationの上にある88,500平方フィートの近代的なオフィス)に本社を置いており、今年後半には同じくFarringdonにある140,000平方フィートのVerdantビルにさらに拡大する予定だ。

エントランスの受付の上にはTikTokのビデオを映し出す大きなスクリーンがあり、スタッフは広々としたダイニングホールで無料のスナックやホットドリンク、ランチを楽しむことができる。

サンデー・タイムズ紙の取材に応じた元TikTokスタッフは、同社での経験について概ね好意的だった。他のソーシャルメディア企業と同様、TikTokも給料は良いが、長時間労働の文化があると話す者もいた。中国のハイテク企業はしばしば、週6日、朝9時から夜9時まで働く「996」スケジュールを連想させる。英国の労働者がこのような労働時間を守っていたという事実はないが、雰囲気はハードドライブだと言われている。

2022年、フィナンシャル・タイムズ紙は、TikTokのロンドン本社における「有害な」労働慣行を暴露する複数の記事を掲載した。FT紙は、ByteDanceの上級幹部で英国のeコマース責任者となったジョシュア・マーが、ロンドンでの夕食会に出席し、自分は「資本主義者」であり、企業が産休を提供すべきだとは思わないとスタッフに語ったと報じた。FT紙によれば、彼は後に職を辞したという。また、一部の部署ではスタッフの離職率が高く、上司が辞めさせたい従業員の「キル・リスト」を作成していたとの疑惑も報じている。

元TikTokの内部関係者の一人は、同社での時間を楽しんでいたと『サンデー・タイムズ』紙に語っている: 「不満のある社員がたくさんいた」。彼らは、TikTokは「万人向けではない。彼らは多くを期待している。懸命に働き、成果を出し、自分が何をしているのかわかっていなければならない。あまりお人好しな従業員のいるところではありません」。彼らは、米国のハイテク企業が従業員をまるで "一流の人 "であるかのように扱うのに対し、TikTokは "もっと中国的な文化 "を持っていると語った。「基本的にみんな替えがきく。そこで働けるのはラッキーなことで、もしあなたが働きたくなければ、他の誰かが働いてくれるでしょう。」

TikTokのオーナーであるByteDanceは、米国のプライベート・エクイティ企業であるGeneral AtlanticやSusquehanna International Groupを含む欧米の投資家の強固な基盤を築いており、彼らは米国の法案が彼らの資産を切り下げることを懸念している。

ある投資家は、米国が禁止すれば、英国を含む他の国も同様の措置を取るだろうと予想した。「最悪の場合、(中国)本土以外では、ByteDanceの灯は消えるだろう。「投資家から見れば、それは良いニュースではない。しかし、世界最悪のニュースではない。バイトダンスの中国事業は巨大で、莫大な収益性があり、それだけで途方もない金額に値する。だから私はそのリスクを受け入れる用意がある。」

過去5年間、TikTokでの存在感を高めるために時間とエネルギーを費やしてきた、アメリカ、イギリス、そしてそれ以外の多くのインフルエンサーや企業にとっては、これは慰めにならないかもしれない。

イギリスのソーシャル・メディア・コンサルタントのマット・ナバラ氏は、TikTokが禁止されれば、ユーザーや広告主はYouTubeやメタのFacebook、Instagramといったライバル・プラットフォームに流れるだろうと予測している。「TikTokに全力投球しているクリエイターや、TikTokで視聴者に投資している企業にとっては、他のプラットフォームでホームを築くことを考えるべきだ。」

ドンカスターに戻ると、食肉インフルエンサーは哲学的だ。TikTokで活動を開始して以来、SlackはFacebookを含む他のソーシャルメディア向けの動画制作で成功を収めている。「それは一進一退です」と彼は付け加えた。「いつか何か別のものがやってきて、TikTokを乗っ取ると確信しています。いつもそうだよね?」


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TikTokは、シオニストとCIAの支配下にない、西側とアメリカにおける唯一のソーシャルネットワークである。  

そこから溢れ出る情報はコントロールできない。 

イスラエルによるガザの残虐行為が明るみに出た時、警鐘が鳴らされた。  

イーロン・マスクもまた、アウシュビッツの散歩に連れていかれるまでは、その習慣に従っていた。 今、マスクはAI技術を使い、反イスラエルのコンテンツやガザで犯した犯罪の素材を含むアカウントや投稿を取り締まりつつある。  

そうなれば、アメリカとヨーロッパの属国は命令に従い、TikTokを禁止するだろう。

TikTokはまた、ジェフ・ベゾスとアマゾンに大きな打撃を与え始めている。 何千ものオンラインストアが、TikTokを自己宣伝の場として使い、一般市民によって立ち上げられている。 

アマゾンがグローバリストやシオニストにとっていかに重要であるかは、彼らがヨーロッパにそのような企業を持つことを決して許さなかったという事実そのものである。



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