Friday 8 September 2023

習近平がG20を欠席したのはモディをいびるためではなく、国内で陰謀と戦っている

The Telegraph, 7 September 2023

ここ数カ月、彼の主要な支持者の多くが謎の失踪を遂げている。

BY GORDON CHANG

習近平はBRICSを盛り上げたいのであって、最も重要な首脳の一人であるモディを無視したいわけではない | CREDIT: Anadolu

 習近平は今週末ニューデリーで開催されるG20サミットに出席しない。事実上すべてのアナリストが、中国の支配者はインドとナレンドラ・モディ首相を鼻であしらうことを望んでいると言っている。

もちろんその可能性もあるが、より可能性が高いのは、習近平の体調が思わしくない(脳卒中という荒唐無稽な噂もある)か、あるいは共産党の内紛が悪化して北京を離れられないと感じているかだろう。

習近平の鼻つまみ論にはいくつか問題がある。まず、習近平は開催国に不満があろうとなかろうと、G20を欠席したことはない。なぜなら、習近平は中国中心の世界というビジョンを推進する機会を放棄することになるからだ。さらに習近平は、G7の対抗馬としてBRICSを盛り上げようとしている時に、BRICS(「I」はインドを意味する)にダメージを与えることになるとわかっている。

いずれにせよ、習近平は最近旅行モードではないようだ。習近平は11月にサンフランシスコで開催されるAPEC首脳会議に出席しないと脅しているし、習近平は今週ジャカルタで開催されるASEAN会議にも、一部では出席するのではないかと見られていたが、出席しなかった。

いずれにせよ、共産党の上層部には動揺が走っている。最も顕著なのは、秦剛・前外相が処刑されたという噂だ。この噂はほぼ間違いなくデマだが、噂の存在、そして噂が広まることを許している事実は、北京で何かがひどく間違っていることを示唆している。

秦は「ヘリコプター」で外務省に上がり、昨年12月末に外相に就任したばかりだ。彼が最後に公の場に姿を見せたのは6月25日だった。

同時に、中国軍のほぼすべての核兵器を管理するロケット軍でも、前例のない人事異動があった。同部隊の李玉超司令官と徐中波政治委員が今年、極めて異例の人事異動で交代したのだ。それ以来、両者とも公の場には姿を現していない。李は2022年1月に就任していた。

その他の人事異動が相次いでいることからも、人事の入れ替わりが早いことがうかがえるが、気がかりなのは、習近平が最近任命した人物が短期間で解任されていることだ。秦剛は特に習近平のお気に入りとして知られていた。

「中国共産党の歴史を通じて、政治的粛清は予測可能なパターンに従ってきた」と、オタワを拠点とするマクドナルド・ローリエ研究所のチャールズ・バートンは今週私に語った。「まず下級の人物が倒される。そして、さらに上の幹部が倒れる。そして最後に、本当の標的であるトップが、自分の立場が危うくなるにつれて倒れる。まるでジェンガゲームのようだ。」

しかし、今起きていることは違う。「在北京カナダ大使館に勤務していたバートンは言う。「秦剛外相と軍高官の異常な失踪は、何の実行可能な説明もなく、突然起こっているように見えます。」「その行き当たりばったりさと、新たに粛清された人物がすべて習近平と密接な関係にあるという事実は、中国共産党の歴史上前例のない、制御不能な政治的動乱の始まりを示唆している。」

今日、世界で最も重大な動きが中国の政権内で起きている。残念ながら、何が起きているのかわからないが、ここ数カ月間の多くの説明のつかない異常な動きは、共産党のトップに何か問題があるに違いないことを物語っている。

こうした噂は、債務不履行の続発、不動産価格の暴落、経済の停滞、食糧不足の深刻化、環境の悪化、地方政府の破綻といった同時多発的な危機を背景に発生している。中国国民は絶望している。中国国民は絶望し、社会から退場するか、記録的な数で中国を脱出しようとしている。

また、昨年10月から異常な抗議行動が相次いだ。例えば、11月24日に発生した火災は、全国的なデモの引き金となった。調整も指導も組織もなく、人々は街頭に繰り出し、習近平と共産党の "退陣 "を要求する者もいた。

習近平は不安に対する答えを持っていない。習近平の国内政策は、そのほとんどが国家統制の強化を企図しており、状況を悪化させているだけだ。人民の不満に対する解決策は、中国人民を結集させるための戦争しかないのかもしれない。ひとつには、彼は戦争の話をやめられず、機会あるごとにその話題に目を向けている。

しかし、彼が行っているのは口先だけではない。第二次世界大戦以来最大の軍備増強を実施し、政権を制裁から守ろうとし、穀物やその他の日用品を備蓄し、そして最も不吉なことに、中国の民間人を戦いに動員している。

日本経済新聞の中沢克治記者は今月5日、共産党の「長老」たちが先月北戴河で開かれた指導部の年次総会で習近平を事実上「叱責」したと報じた。多くのチャイナ・ウォッチャーはこの記事の正確さに異議を唱えているが、それでも習近平指導部への不満が蔓延していることは明らかだ。習近平は多くの人々から権力とカネを奪ってきたが、彼らは今、国がひどくつまずく中で、仕返しをしようとしている。バートンが指摘するように、政権が安定していると考えるには、苦悩の症状が多すぎる。

したがって、中国が安定していると仮定することはできず、良い結果を想定することも、習近平がインドが好きではないという理由だけでニューデリーに行かないと仮定することもできません。



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