私がスーパーに買い物に行く時の道すがらに、いつも同じ場所でたまに見かけるキジ猫がいました。逃げるわけでもなく、寄って来るわけでもなく、いつも同じ家の近くでまったりしていて、その家の飼い猫なのだろうと思っていました。
今から丁度一年前は、新型コロナウィルスの感染がイギリスでも急激に増え始めた頃でした。まだまだ未知のウィルスで、海外ではペットの犬や猫からも新型コロナウィルスが検出され、ペットを介して感染するのではないかとも報道されていました。そして、その辺りから、それまではたまにしか見かけなかったあのキジ猫を、その場所を通る度に見るようになったのです。「まさか、家から閉め出されたんじゃないだろうな⁈」そんな事はないだろうと、悪い方には思わないようにしていました。
英政府は3月26日から全国的なロックダウンを発表し、ロックダウンで失業して面倒見れなくなった等で、ペットを動物のシェルターなどに持ち込む人が増えたという記事が出てきました。それ以来、その場所を通ると、そのキジ猫は若い女性に撫でられていたり、食べかけのイワシの缶詰やキャットフードの缶詰が歩道に置いてあったりして、誰かがご飯をあげているようでした。気温も高くなり、感染者数も低くなり、そろそろロックダウンも解除されるという頃の5月下旬くらいだったか、通りがかりのイギリス人のおばちゃんが、もう少しだから頑張りなさいね、とキジ猫に声をかけていました。やっぱり、閉め出されたのか… でも、もうすぐロックダウンも終わるから、きっと家に入れてもらえるんだろうなと思っていたのです。
それから、制約はあるもののロックダウンも解除され、しばらくキジ猫の姿も見なかったので、家に入れてもらったのだろうと思っていたら、7月の下旬か8月の上旬くらいに見かけたそのキジ猫は、ガリガリに痩せて毛もボサボサで、見るからに食べていないのが明らかでした。その姿を見て不憫に思ってしまった私は、念のため、誰かがご飯をあげているかもしれないので、食べ過ぎにならないように、差し出がましいようですが、その場所を通る時にだけ猫用のおやつをあげることにしました。すると、以前は全く寄ってこなかったキジ猫は、私が来ると嬉しそうに目の前に飛び出して来るようになりました。よく見ると、飼い主の家であろうと思われるドアの脇に、果物か野菜用の浅い段ボール箱にタオルを入れて置いてあって、キジ猫はその箱で寝泊まりしているようでした。夏はいいけど、これから寒くなるのにまだ中には入れてあげないのだろうかと思っていました。
秋になると、イングランドの中部・北部で感染が広がり、地域的なロックダウンが始まりました。キジ猫さんは、たまに見ない時もあり、10月の上旬におやつをあげたのを最後に姿を見なくなりました。何度か周辺を探してみましたが、見当たりません。ドアの脇にあったダンボール箱の寝床もなくなっていました。これから寒い冬がやって来る。きっと、家の中に入れてもらったんだと思うようにしています。🐱
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