The Telegraph, 31 March 2022
両国を結ぶ異常な取引は全て偶然かもしれないが、それはかなり大きな偶然だろう。
「これらの異常なお金の流れはすべて、ロシア軍がウクライナ国境に集結している時に起こったものです」
12月、プーチンがウクライナへの侵攻を計画している事を示す情報が米国で解禁され始めた頃、世界の金融データで奇妙な異常が次々と現れ始めた。
個別に見れば、これらの異常は簡単に見過ごされてしまうだろう。しかし、これらを合わせると、金融専門家は、中国がロシアの現金、特に米ドルを海外口座に隠し、欧米がモスクワに課している厳しい金融制裁を逃れる手助けをしているかもしれないと考えるに至るパンくずのような痕跡となる。心配なのは、ロシアが期待よりもずっと長く持ちこたえるだけの経済力をもっているかどうかだ。
侵攻後すぐに、アメリカ、イギリス、カナダ、EUはロシアの銀行が国際的な支払いを行うためにスウィフト・メッセージング・システムを使用する事を禁止し、経済的ショックと畏怖の圧倒的な表示で6300億ドル(4800億ポンド)相当のロシア中央銀行の海外資産を事実上押収した。
ルーブルは数時間の内にその価値の3分の1を失い、ロシア中央銀行は通貨のさらなる暴落を防ぐために金利を9.5pから20pに引き上げる事を余儀なくされた。このような急激な金利引き上げが必要だったのは、ロシアがルーブルを買い戻すための外貨準備を利用できなかったからである。特に、モスクワは世界貿易で最も重要なドルを手に入れる事ができなくなった。
しかし、今すぐには手に入らない。先月発表されたデータによると、12月にロシア中央銀行が保有する通貨と「他の中央銀行」への預金は410億ドルと大幅に増加した。
米外交問題評議会の国際経済部長ベン・スタイル氏によれば、この種の月次増加額としては過去最大である。スタイル氏は、これだけの資金を受け入れる事ができるほど規模が大きく、モスクワと友好的な世界の中央銀行はただ一つ、中国人民銀行 (People's Bank of China) しかないと考えている。
シュタイルは、その資金がどこに行ったのか、金融データを調べ始めた。彼は、この作業を「ピースのないパズルを解くようなものだ」
案の定、ロシアが410億ドルを移動させたのと同じ月に、世界で最も重要なカストディバンクの1つがあるベルギーで保有されている国債の価値が470億ドルも急騰している事がわかったのです。これは2014年以来、月次で最大の増加であった。当時は中国が国債を買っていたが、今回はPBoCの資産は横ばいにとどまった。国債は誰かのものだったのだ。
世界の中央銀行とお金の流れの専門家であるSteil氏は、PBoCのバランスシートを詳しく見ていたが、12月に中国本社の国有銀行への通貨と預金が130億ドルも急増し、過去最大の増加幅になっている事を発見した。
ロシア中央銀行の通貨と「他の中央銀行」に預けられている預金が410億ドル、中国本社の銀行に預けられている通貨と預金が130億ドル増加している(「3兆2000億ドルのバランスシートの他の場所に、もっとロシアのお金が散らばっている可能性がある」とスタイル氏は言う)、ベルギーの米国債の保有高が470億ドル増加している、という事である。
そして、これらの異常な資金の流れは全て、ロシア軍がウクライナ国境に集結していた12月の同時期に発生したのである。これはすべて偶然の一致かもしれないが、かなり大きな偶然だろう。
2018年にも似たような事があった。モスクワが約430億ドルの国債を売却したように見えるのと同時に、最も重要なオフショア金融センターの2つ、ケイマン諸島と、やはりベルギーで、同じ種類の資産の保有額が非常に大きく増加し、450億ドルにも達した。
中国は以前から、監視の目から逃れるために国債をオフショアに保有し、米国が違法な為替操作を行っていると考えている疑いがある。ロシアも同じような事をしているのだろうか?
スタイル氏はそう考えているという。ロシアの中央銀行が中国銀行に預金し、中国銀行が中国の国有銀行にベルギーとケイマン諸島にある米国債を購入するように指示したと、彼は考えている。もしスタイルの金融調査が正しければ、ロシアは少なくとも800億ドルのドル資産を、誰も知らない海外口座に隠している事になる。
モスクワがドル紙幣を必要とする場合、中国の銀行は保有する国債を売却し、そのドルを中国人民銀行に戻し、中国人民銀行がロシアの中央銀行の口座に入金する事が可能である。これほど多くの仲介者がいて、中国の中央銀行が協力的である限り、米国やロシアの中央銀行にとって非常に困難な事であろう。
欧州の金融当局は、これに対して何もできない。習近平国家主席は金融制裁は「各方面に有害」と発言しており、このような形の金融パスは北京が水面下でモスクワを支援する一つの方法だろう。
西側諸国がここ数週間でロシアに投げかけた金融網の穴は、これだけではありません。今月初め、ロシア政府はアメリカの銀行を通じて国債の利払いができるようになった。ロシアが債務不履行に陥った場合、世界の金融システムに影響が出ることを懸念して、米国がこれを許可した可能性がある。
西側諸国の政府も、ロシアの石油とガスの輸入のための支払いを続けている。しかし、モスクワはこれらの支払いをルーブルで行うよう要求し始めており、これは通貨の下支えとなる可能性がある。昨日、ドイツは、週明けのこのチキンゲームの期限までにどちらの側もひるむことがないよう、ガスの配給を考えている事を示唆した。
西側諸国の対ロシア金融制裁は、電光石火のスピードと並外れた連携で実行された。しかし、その効果は今、試されている。ここ数日、ルーブルは侵攻以来失った地価の多くを回復している。
ロシアに対する金融制裁は、ロシアに経済的な損害を与えている事は間違いない。「しかし、クレムリンの首が金融の輪でつながれていると甘く見ない方がいい」とスタイルは言う。
「我々が追跡した資金の流れが正しければ、ロシア中央銀行は少なくとも800億ドルの国債を保有しており、人民元や金と同様に、支払いにそれほど苦労する事なく清算できるだろう」
長期戦になるかもしれませんね。
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これは先週撮った写真でおます。
今日のロンドンは、午後に雪が降りました。とは言っても、10〜15分くらいで止みましたけどね。❄️
イングランドの北部では、昨夜の内に雪化粧するくらい降ったようです。
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