The Times, 22 August 2023
『タイムズ』紙の調査により、ビジネス・プラットフォームを利用して機密を入手している中国の工作員が暴露された。彼の手口は金と嘘とエゴの塊である。
LinkedInがジェームズ・ボンドの映画に登場したことはないし、おそらく今後も登場することはないだろうが、スパイにとっては007のどんなガジェットよりもはるかに役に立つ。キーボードを数回たたくだけで、潜在的なターゲットとなる人物のプールと、彼らをどう勧誘するかの手がかりを見つけることができる。
昔はそれが難しかった。インターネットが普及する前は、ソ連のスパイ組織は誰が誰なのかを突き止めるのに苦労した。イワノフ氏を取り違えれば、莫大なコストとリスクを背負ってターゲットに「接近」することになる。
リンクトインはそれを変えた。あなたが中国のスパイで、アウター・ヘブリディーズ諸島のベンベキュラにある極秘のロケット実験場で働いていたイギリス政府関係者に興味を持っているとしよう。ほんの20年前なら、彼らの名前を見つけるだけでも、時間とリソースを費やす必要があっただろう。スコットランド西部の島々をウロウロしておせっかいな質問をすれば、逮捕されたり暴露されたりする危険があった。今はLinkedInで "RAF Benbecula "と検索するだけで38人の名前が出てくる。
その中には役に立たないリードもあるかもしれないが、少なくともどこかから始めることはできる。どんなにベテランのプロフェッショナルでも、魅力的な若い女性、おそらく自分の専門分野で働いている学生からコンタクトのリクエストを受けると、嬉しいかもしれない。ターゲットのうち2、3人しか引っかからなかったとしても、フェイスブックなど他のサイトでメッセージを送り、家族、趣味、その他の活動についての情報を得ることで、彼らの友人やその他の連絡先のネットワークについて、より幅広い情報を得ることができる。
彼らの長所と短所の全体像を把握したら、リクルートを検討することができる。スパイ学校では、諜報部員はマイス(金、イデオロギー、強要、エゴ)を考えるように教えられる。この中で圧倒的に強力なのは、最後の「お世辞」だ。人生と同じようにスパイ活動においても、お世辞はどこでも通用する。LinkedInは、人々が見せびらかす場所であり、その結果、お世辞を言う者がどこを攻撃すべきかを示す場所なのだ。
LinkedInは、偽旗攻撃を仕掛けるのにも役立つ。ターゲットが賞賛している国を見つけ、その国のスパイ・サービスの人間のふりをするのだ。ターゲットは確認できない。民間人なら誰でも、有利なコンサルタント契約を喜ぶかもしれない。
ターゲットとつながるチャンスは他にもある。数年前、イランのシークレットサービスは「ミア・アッシュ」という名前でリンクトインのプロフィールを作成した。ターゲットとメールで連絡を取り合うと、"彼女 "はマルウェアを含む添付ファイルをターゲットに送り、ターゲットはその添付ファイルを仕事用のコンピューターで開き、イラン側が求めていた秘密へのアクセスを許してしまった。
モスクワでもテヘランでも北京でも、自分のデスクを離れることなく、数時間で、前任者のチームが1年がかりで調査した以上の情報を得ることができる。
しかし、わが国のスパイ・サービスにとって、その生活ははるかに厳しい。LinkedInで中国やロシアの高官を見つけることはできない。両国とも禁止しているからだ。
エドワード・ルーカスは『Spycraft Rebooted: How Technology is Changing Espionage』の著者
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